いよいよホームステイを離れる朝が来た。
一緒に暮らしていた香港人3人は出掛けていて見送りはなかった。
日本食を一緒に食べた仲じゃないかと思ったが、エピソードはそれぐらいのもんだ。
「まぁ、そりゃそうか」
これから生活する上でママに反旗を翻した私を見送るのはちょっと割に合わないだろうな。
もちろん、ママの見送りもなかった。
家の鍵は前日に返しているから、そのまま家を出る。
少し寂しさを感じながらも、心はなぜかウキウキしていた。
これからまた新しい生活が始まる。
今よりは自由で、さらに楽しいに決まっている!
何の根拠もなかったが、なぜかそう思うのだった。
ふと見上げると真っ青な空。
日本の快晴とは全く違う鮮やかな青に感動した。
飛行機が飛んでいるのも見えた。
朝の澄みきった空気と明るい青のおかげでポジティブになれたのかもしれない。
感傷に浸ってばかりではいられない。
私はこれからここで生きていくのだ。
まずは学校まで行かねばならない。
家を出ることばかりを考えていたので、行く方法を考えていなかった。
スーツケース片手にどうやって行ったら良いのだろう。
こういうときは悩むよりとりあえず動いてみることだ。
今では考えられないが、当時は考えずに行動するパワーがあった。
ひとまず大通りまで出た。
日本のように流しのタクシーを待ってみたが、タクシーは来ない。
「やれやれ」
数分で諦めた。
深夜特急が好きだった私は、砂漠のバス停でバスに置いて行かれた大沢たかおを思い出した。
これからどうなるのだろう!?
続きはまた次回。
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