ある日、学校の友達からオーストラリア人訪問のお誘いを受けた。
ブリスベン川沿いにある遊歩道を歩いていたら、声を掛けられたのだそう。
訪問先はおじさんで船で生活しているというのだ。
「良かったら、船を見てみたいかい??」
かなり怪しい…。
誘われた友人は女性だったので、一人で行くのは危険かと思い、ついていくことにする。
ブリスベン川はマウントスタンレーからブリスベンを突っ切って海まで続いている。
オーストラリア南東地域では最長を誇る大きな川である。
前にも紹介したロッククライミングができる崖があったり、
川沿いには無料でバーベキューができるところがあったりと
地元の人だけでなく、留学生にも馴染みのある川だ。
ブリスベン川には船を係留させておける場所がある。
そこで声を掛けられたというのだ。
早速向かってみる。
そこにはたくさんのヨットが並んでいた。
そこから「おーい」と呼ぶ声がする。
ひげを蓄えた50歳ぐらいの男性が手を振って近づいてくる。
「あれが噂のオージーか」
話すとなんとなく良い人のような気もする。
私や友人のようなあまり英語が得意ではない人でも話を聞いてくれる。
どうやら、船で暮らすのは退屈らしく、いろんな人に声をかけているようだ。
おじさんの船のほうへと向かっていく。
ぱっと見は小さいヨットのように感じた。
船内を見せてくれるというので入ってみる。
外から見るより中は広い。
この船で中国や日本にも行ったことがあるということも言っていた。
私には冗談か本気なのかは見分けがつかなかったが…。
そしてしきりに「カタマラン、カタマラン」と言っている。
こっちはまだまだ英語が分からないのだが、
ジェスチャーを見る限り、船の底が二つに分かれていることをカタマランというようだ。
それがどういう効果があるのかはよく分からなかったが
自慢気な態度から何かがとても優れているということなのだろう。
こちらから話しかけるにも話題は船のことばかり。
船の知識はあまりないし、家族のことを聞くのもどうかな~。
という葛藤の中で無言の時間が苦痛になってくる。
そして正直、密室でいるのがちょっと不安だったので早々に退散する。
本日は「Catamaran(双胴船)」という貴重な英単語が勉強できた。
それとあの人は案外良い人のようだ。
そうは思ったが、帰りがけにゴールドコーストまで船で行くお誘いを受けたが断った。足のつかないところに彼と出掛けるのはまだまだ怖いしね。
しかし、縁はどこに転がっているのか分からないものだ。
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