アーネスト・ヘミングウェイ著『ストレンジカントリー(The Strange Country)』
金原瑞人 訳
本屋で英語の面白い本はないかと物色していたところ、たまたま出会った。
以前紹介した左側に英語、右側に単語の日本語訳が載っているという小説。
今回は前回の「コロケーション」の実践として紹介する。
作者のヘミングウェイという名前は聞いたことがあったものの、
実際にどういう作品を書いているのかは知らなかった。
ヘミングウェイ(1899年~1961年)はイリノイ州のシカゴに生まれ
記者として働く。第一次世界大戦のイタリア戦線やスペイン内戦に従軍した経験を持つ。
その経験から『武器よさらば』や『誰がために鐘は鳴る』という作品を生み出し、1954年には『老人と海』でノーベル文学賞を受賞。
本作はヘミングウェイ死後に発表されたもので
マイアミを起点として、主人公の中年作家ロジャーと
若い恋人ヘレナが西へと旅を進めるロードノベル。
作者自身が自宅を構えていたというマイアミということで
地理に関する描写が細かい。
GoogleMapで場所を見ながら本を読みこむのも面白い。
短編集に掲載されたものなので、長過ぎないのもうれしい限り。
何度も読み込むと、最初は見えなかった表現だったり、
風景だったりが少しずつ見えてくる。
これから中でも目を引いた表現を書いていこうと思う。
「Muggy」
Miami is hot and muggy(ジメジメした)
1番最初に書かれていた文章にあった言葉。マイアミは言わずと知れた、フロリダ州マイアミのこと。
アメリカ国内でも一番南東に位置し、メキシコ湾を臨むリゾート地だ。
スカっとした青空と陽気な楽園のイメージだが本作では違うようだ。
作品が始まってすぐの「書き出し」部分で、マイアミをこう表している。
「暑くてじめじめしていて、Evergladesからの蚊が風に乗ってやってくる」
Evergladesはマイアミから西方向にある地域で、いまから向おうとする方向に位置する。
この辺りの表現は実際に作者が住んでみて感じたことだろうか。
ネガティブな表現なのでこの物語はハッピーなのだろうかと不安にさせる。
It is muggy today
muggy day/muggy afternoonなど
まさにhotのような感覚で使えるようだ。
「Swamp(沼)」
Dump(投げ捨てる)やBump(ドンとぶつける)と似た発音だなと。
なんとなく意味もちょっとダーティー感漂うので似てる。。。
日本では沼というのは見かけなくなったように思う。
(私の住んでいるところだけ??)
何事もイメージが大切なので、「沼」を頭の中で具現化できるように
ウィキペディアで定義を確認した。
透明度が低い
水深が浅い(5m以内)
規模があまり大きくない
だそうだ。
底なし沼のイメージだろうか。
これも私が持つマイアミのイメージとは違うものだ。
swampには名詞以外にも他動詞、自動詞としても使える。
その場合の意味は水没させる(する)、どっと押し寄せるといったもの。
swamp a boat
ボートを沈める
Hundreds of letters swamped the newspaper office.
何百通もの手紙がその新聞社に殺到した
こちらも合わせて覚えていきたい。
これからもヘミングウェイの『ストレンジカントリー』読み込んでいくぞ!
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